人の頭頂と両肩には三つの火があり、夜道で肩を叩かれても振り返ってはいけない、というのはこのためである
· 謎思社会長
民間には、人間の体には三つの火があるという言い伝えがある。頭頂に一つ、左肩に一つ、右肩に一つだ。この三つの火は、人間の「陽気」であり、それが盛んであるほど、邪なものは近づきにくくなる。
だから年長者は、こうしつこく言うのだ。夜道を歩いていて、後ろから誰かに肩を叩かれても、急いで振り返ってはいけない、と。振り返ると、肩の上の火を一つ、自ら吹き消してしまうからだ。もし叩いたものが「人間でない」ものなら、振り返ることで、さらにそのものに目をつけられやすくなる。
では、肩を叩くものは何なのか? 東北の年長者たちは、たいていは黄皮子だと言う。狐だと言う者もいる。それらは夜道を歩く人に付きまとい、人が気づかないうちに肩を叩き、人が振り返ったところで、息を吹きかける。人はそれに惑わされ、そのものについていってしまうという。
同じ理屈で、夜中にむやみに他人の肩を叩いてはいけない、また他人の頭頂に向かって息を吹きかけてはいけない、と言う者もいる。火を吹き消してしまうのを恐れてのことだ。子供たちがふざけ合うときも、頭を叩いたり肩を叩いたりしてはいけないとされている。
もし道で叩かれたら、どうするべきか? 年長者が教える方法は、振り返らず、声を出さず、灯りがあり人がいる場所まで、ただひたすら前へ進み続けることだ。
この掟は広く伝わり、南北の両方に存在する。「三つの火」が具体的にどこから来たのか、それをはっきりと言える地域の人間はいない。しかし、多くの人がこんな感覚を経験したことがあるという。夜道で、背後から誰かに軽く叩かれたような感覚がして、振り返っても誰もいない。風だけがいる。
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