除夕夜,東京王子稲荷門口の狐火

· 謎思社会長

東京の北に王子稲荷神社があります。江戸時代からの伝説で、毎年大晦日に、関東八州の狐たちが神社のそばの大エンノキの下に集まり、公服に着替え、衣冠を整え、長い列を作って、一人一盏の火を掲げ、一緒に神社へ初詣に行くのだそうです。

近くの農民たちは、この夜、遠くからその火の列を見守ります。火が多ければ来年は豊作、火が少なければ不作だと言われます。彼らが見た火は「狐火」と呼ばれ、闇の中で一つひとつ灯り、木の下から神社の門まで一直列に並びます。

歌川広重が1857年にこの光景を描き、『名所江戸百景』に収め、題名を「王子装束榎大晦日の狐火」としました。大木、その下に群がる狐たち、頭の上には小さな火の粉、遠くには田畑と林。この絵は、日本人が狐の話をするときに最もよく取り上げられる一枚となりました。

江戸時代には、王子の狐を題材にした落語の噺もあります。ある男が狐を騙そうとしたところ、狐が変身した女に騙されてごちそうをおごらされ、後になってようやく自分が騙されたことに気づく、という話です。落語の結末は、たいてい面白く、そして少し余韻を残すものです。

現在でも毎年大晦日に、王子では「狐火行列」が行われています。90年代から続いているこの行事では、人々が顔に狐の顔を描き、狐の面をつけ、提灯を掲げて、エンノキの旧跡から神社まで歩きます。近隣の住民が路傍に立って見守ります。ネット上には多くの写真があります。

あのエンノキはとっくになくなり、旧跡には小さな「装束稲荷神社」があり、中には碑が建てられ、その隣には新しい木が植えられています。毎年大晦日の夜、空に狐は一匹も見えませんが、道端の人々は灯りを数え、今年の火がいくつあるかを数えます。

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